国際法上の中立には、永世中立と戦時中立、一般的中立と部分的中立、任意的中立と協定中立、好意的中立と厳正中立などの区別がある。通常それは戦時中立を意味するが、戦時中立とは
戦争が発生した場合それに加わらず、
交戦国双方に対して
公平な態度をとる
国家の法的地位のことである。それはその戦争と無関係な立場にある国の地位ではなく、交戦国との間に一定の
権利・
義務をもつ国の地位である。
中立国は、その
領土・
領海・
領空について交戦国による一切の侵犯から免れる。他方、それは交戦国双方に対して厳正に公平である義務を負う。それは、交戦国に
軍隊、
船舶、
武器、
弾薬、
資金その他直接、間接に戦争に使われうる物資を提供したり、その領内を
軍事基地や軍事的移動経路として使わせたりしてはならない。中立国の権利・義務のうち、複雑なのは、中立国と交戦国との
通商に関するものである。例えば、中立国は自国民が交戦国と通商することを妨げる義務はないが、それに対する、交戦国による一定の
干渉(
海上封鎖、
船舶の停止と捜査、
戦時禁制品の没収等)を黙認しなければならない。
しかし
20世紀初頭を過ぎると、国際社会の統合と国家主権の相対化が進み、中立の維持は急速に困難になった。
第一次世界大戦後に
国際連盟が結成され、戦争に訴えない義務、違反国に対する制裁に参加する義務が加盟国に課せられるとともに、加盟国の立場と中立の地位が矛盾する可能性が生まれた。
1928年の
パリ不戦条約も同様の矛盾をさらに強めた。
第二次世界大戦に際しては、アメリカが中立を宣言しながら、しだいに
連合国側に傾斜してついには参戦したこと、
独が中立国
ベルギー領を侵犯して対
仏攻撃を行ったことは、第一次世界大戦のときと同じであったが、中立は以前よりもさらに無視されやすくなった.。
1945年8月にソビエト連邦による
日ソ中立条約の破棄もその典型である(
中立条約参照のこと)。