五箇条の御誓文 wikipedia|無料辞書
◆ 歴史
◇ 起草の過程
制度取調参与の
福岡孝弟は、この由利五箇条に対して第一条冒頭に「列侯会議を興し」の字句を入れるなどして封建的な方向へ後退させ、表題も
会盟に改めたため、列侯会盟の色彩が非常に強くなった。さらに福岡は発表の形式として天皇と諸侯が共に会盟を約する形を提案した。しかし、この「会盟」形式は、天皇と諸侯とを対等に扱うものであり
王政復古の理念に反するという批判にさらされた。
そこで、総裁局顧問の
木戸孝允が、天皇が天神地祗(てんじんちぎ。分かり易く言えば
神)を祀り、神前で公卿・諸侯を率いている状態で共に誓いかつ全員が署名するという形式を提案し、採用されることとなった。その際、
木戸孝允は、福岡案第一条の「列侯会議を興し」を「広ク会議ヲ興シ」に改め、「徴士」の任用期間を制限していた福岡案第五条を削除して木戸最終案第四条を新たに組み込み、五箇条の順序を体裁良く整え直すなどして大幅に変更を加え、より普遍的な内容にした。また、
議定兼
副総裁の
三条実美も福岡案表題の「会盟」を「誓」に修正したため、木戸による五箇条が「
誓文」「
御誓文」「
五箇条誓文」「
五箇条の御誓文」と呼ばれるようになった。この木戸五箇条が天下に布告すべき日本の国是として
明治天皇の裁可を受け、1868年(慶応4年)3月14日、朝廷の規模の大きさを天下に確定させんとする木戸の狙い通り、誓約された。木戸は後日、「天下の侯伯と誓い、億兆の向ふ所を知らしめ、藩主をして其責に任ぜんと欲し」たと述べている
[妻木忠太『木戸松菊略伝』、松尾正人『幕末維新の個性8 木戸孝允』]。
◇ 儀式と布告
天神地祇御誓祭の前には、天皇の書簡である御宸翰が披瀝されている。
同日正午、在京の公卿・諸侯・徴士ら群臣が着座。
神祇事務局が塩水行事、散米行事、神おろし神歌、献供の儀式を行った後、天皇が出御。
議定兼
副総裁の
三条実美が天皇に代わって神前で御祭文を奉読。天皇みずから幣帛の玉串を捧げて神拝して再び着座。三条が再び神前で御誓文を奉読し、続いて勅語を読み上げた。その後、公卿・諸侯が一人ずつ神位と玉座に拝礼し、奉答書に署名した。その途中で天皇は退出。最後に神祇事務局が神あげ神歌の儀式を行い群臣が退出した。
御誓文は太政官日誌をもって一般に布告された。太政官日誌には「御誓文之御写」が勅語と奉答書とともに掲載されたほか、その前後には天神地祇御誓祭の式次第と御祭文や御
宸翰が掲載された
[[外部リンク] 国立国会図書館近代デジタルライブラリー]。当時の太政官日誌は都市の書店で一般に発売されていたが、各農村にまで配布されておらず、一般国民に対しては、キリスト教の禁止など幕府の旧来の政策を踏襲する
五榜の掲示が出された。
◇ 政体書体制での御誓文
明治元年閏4月に明治新政府の政治体制を定めた
政体書は、劈頭で「大いに斯国是を定め制度規律を建てるは御誓文を以て目的とす」と掲げ、続いて御誓文の五箇条全文を引用した。政体書は、アメリカ憲法の影響を受けたものであり、三権分立や官職の互選、藩代表議会の設置などが定められ、また、地方行政は「御誓文を体すべし」とされた。
このほか、同年4月12日の布告では、諸藩に対して御誓文の趣旨に沿って人材抜擢などの改革を進めることを命じている。また、各地の人民に対して出された告諭書にも御誓文を部分的に引用する例がある。例えば、明治元年8月の「奥羽士民に対する告諭」は御誓文の第一条を元に「広く会議を興し万機公論に決するは素より天下の事一人の私する所にあらざればなり」と述べ、同年10月の「京都府下人民告諭大意」は第三条を元に「上下心を一にし、末々に至るまで各其志を遂げさせ」と述べている。
◇ 御誓文の復活
その後、政体書体制がなし崩しになり、さらには
明治4年(1871年)の
廃藩置県により中央集権が確立するに至り、御誓文の存在意義が薄れかけた。
明治5年(1872年)4月1日、
岩倉使節団がワシントン滞在中、御誓文の話題になった時、木戸孝允は「なるほど左様なことがあった。その御誓文を今覚えておるか」と言い、その存在を忘れていた模様である。この時、御誓文の写しを貰った木戸孝允は翌日には「かの御誓文は昨夜反復熟読したが、実によくできておる。この御主意は決して改変してはならぬ。自分の目の黒い間は死を賭しても支持する」と語った。
1875年(明治8年)、木戸孝允の主導により出された
立憲政体の詔書で「誓文の意を拡充して…漸次に国家立憲の政体を立て」と宣言。立憲政治の実現に向けての出発点として御誓文を位置付けた。
◇ 自由民権運動と御誓文
自由民権運動が高まる中、御誓文は立憲政治の実現を公約したものとして一般に受け止められるようになった。特に第一条「広く会議を興し万機公論に決すべし」は、当初は民選議会を意図したものではなかったが、後に民選議会を開設すべき根拠とされた。例えば、
1880年(明治13年)4月に植木枝盛が起草し片岡健吉・河野広中らが提出した「国会を開設するの允可を上願する書」が著名である。
明治憲法制定により
帝国議会が開設されるまでの間、自由民権派は御誓文の実現を求めて政府に対する批判を繰り返した。
◇ 戦後の御誓文
・五箇条の御誓文 page1
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